絵本『花さき山』について

2019.6.3 起稿

絵本『花さき山』は、斎藤隆介さんの作で、滝平二郎さんの切り絵が挿絵になったものです。1969年に初版が発行されています。


 

~あらすじ~

10歳の女の子“あや”。山菜採りに山に入り、一面に花がさいている様子を見ます。花がさいている訳を“やまんば”が伝えます。「やさしいことをすれば花がさく。命をかけてすれば山が生まれる。」“あや”は、山から帰って、この話をしますが、信じてもらえません。“あや”は後日、確かめに山に行きますが、花はありませんでした。けれども、その後、時々「おらの花がさいてるな。」と思うことがあったと話を終えています。


 

~道徳の教材として~

諸説あるので、一概にこれがよいというものではありません。

ねらいは「人の心の美しさに感動し、自分の心も美しく輝かせようとする。」です。指導要領解説「特別の教科 道徳編」の内容でいうと、「D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」、3・4年生の「(20) 美しいものや気高いものに感動する心をもつこと。」を実践することになります。『花さき山』自体は、改訂前の指導要領の頃から教材として扱われていました。その経緯もあって、基本的な授業展開は次のようです。

1 心が美しいとはどういうことか考える

2 『花さき山』をもとに、どのような心が花をさかせたのか考える

3 各自が振り返り、身の回りにどんな花がさいたか話し合う

大事なのは、「親切、思いやり」を学ぶための教材としているのではないということです。子どもたちにとって「美しいもの、気高いもの」とは何でしよう? 抽象的でなかなか理解しにくいところです。『花さき山』では、最後の部分が「美しいもの、気高いもの」なのではないかと私は考えます。つまり、花がさくからやさしいことをする、山が生まれるから人のために尽くす、というのではなく、その行為自体を無償のものとして行うことが尊いのだと思うのです。グッと日常レベルに寄せて考えると、シールや賞状などの褒美がもらえるからがんばるというのは、一理あるけれどそれが全てではないということです。

Takenaka.M


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